はじめよう。美しいあの場所へ、迷子にならぬ様、ワタシへの道標となる様に。

瞳に映る生命の息吹、耳から観える生命の動き、感じる景色。繋がる精神の緒。

脈脈と繋がるこれまでこれからのど真ん中。感じるままに三輪福綴りに記して行こう。


2017年10月9日月曜日

奥能登国際芸術祭2017






芸術祭の始まりの9月3日早朝、三﨑地区の粟津海岸に表現されている
小山真徳さんの作品「最涯の漂着神」前にて、舞のご依頼をいただいた。

2週間ほど前に、作家の小山さんとご対面すると、小山さんから
「あれ?どこかでお会いしていますよね!?」と思わぬ声がかけられた。
、、、、。
記憶が呼び戻されて、「あの時間」を思い出した。
2年前に、群馬県の中之条ビエンナーレで、私は作家の三宅光春さんの作品に
参加となっていて、ある集落で数日過ごしていた。
その時に、小山さんが同じ集落で作品を展示されていたのだ。

今回の最大の驚きは、小山さんが奥能登で展開された作品の場所が
当初、予定していた場所から変更になったと言う、粟津海岸。
その作品の行く先には、昔海から流れたて来たと言う木造觀音像。
集落の方の夢枕に立ったその観音像が、海に流れついたことを知らせ、
海へ行くと、その観音像が本当に流されていて、またその観音像までの道は
そこだけが浅瀬で無理なく引き上げられたそう。

その観音さまが祀られているお堂に、今年初旬になんとなくふらりと
メディスンドラムを持っていき、一人で奉納打ちをしていたのだ。
まさか、今回のご縁に結びつくとは思いも寄らず。

また、この粟津海岸は、私のご先祖様に御縁深い場所で、私自身もこの
海岸に、赤ちゃんの頃に海水浴に来ていた。

様々な、無駄のない計らいにも思えるこの運びに、もう飛び乗って行くしかないと
言う想いで、初日を迎えた。

静かに、そっとそのセレモニーが開かれると思っていたら、
当日は、まだ夜明け前にも関わらず、たくさんの人が。

お知らせも、2日前ほどにようやくできたみたいで、朝も早いし誰もいなくても
始めましょうねとスタッフと息合わせ。

三﨑地区の区長さん、集落の方々が、当日には、想いを寄せてくださり
松明を灯したり、また集落の太鼓をたたいてくださったりと、
垣根を超えて、全てが溶け合って一つになるような
感覚がありました。

無心で舞ったと思う。

全てが手に取るようにつながり、その繋がり方や、温度や色、リズム、
距離などなどがピタリとどこかでわかるようであり、
それら、全てを手放し、ただ呼吸だけが在るといったそんな感触を
行き来していたような。

舞の終盤、「ここでおしまいだ」と思い、作品から抜け出たら
ご来光が見事に上がっていた後に、ポツ、ポツ、ザアーっと一瞬の雨。
まるで、作品の中に置かれている人魚の涙の様にも思えた。

雨が上がると、また再び快晴となり、
芸術祭りが本当に始まって行きました。

あの海岸で、集まってくださった方々と共に迎えたご来光は
信じられないほどに見事で、温かかった。
集落のおじいさんたちも、その後、海岸へ毎日出ては
「ずっとここに住んでいるけど、あんな太陽見たことがない、本当に
綺麗やったなあ」と口々に語られていると
後で知りました。


作品が出来上がるまで、たくさんの方々がサポートされていた姿や、
見えないところで様々な働きかけをしてくださっている事、
たくさんの感謝が溢れた、ありがたい始まりの朝となりました。


その後、、、
作品の中に置かれてる、人魚さんには
日々、なぜかお賽銭が置かれ始めていて、
また、集落の祭りでは、「ごしょうたい」と言う
儀式も特例で行われました。





その後、集落の方々や、作家の小山さんから
クロージングに再び、舞のご依頼をいただきながら
未だに返事がしっかり出来ていない。

ありがたい気持ちがいっぱいです。


奥能登国際芸術祭は
10月22日まで開催しています。
能登の魅力が増しています



2017/9/3
三﨑地区
粟津海岸
三輪福×小山真徳
「漂着神/祝祭/音連れ/彼方」
ダイジェスト映像