はじめよう。美しいあの場所へ、迷子にならぬ様、ワタシへの道標となる様に。

瞳に映る生命の息吹、耳から観える生命の動き、感じる景色。繋がる精神の緒。

脈脈と繋がるこれまでこれからのど真ん中。感じるままに三輪福綴りに記して行こう。


2022年11月10日木曜日

火熾し神事


先日の群馬は前橋の八咫烏神楽を終えた足で
能登へ戻っては、駆け足でリセットしてすぐに
火熾し神事へと向かって行きました。
奥能登珠洲 5年越しの火熾し神事を無事納める事が叶いました。
株式会社ノトハハソ(旧大野製炭工場)の炭焼き窯にて
能登は七尾中島町にて暮らしの火として300年以上も前より守られてきた火、「火様」。その分け火が、ノトハハソさんの炭焼き窯に新しい火と合わせ火となり一つの窯へ炭を生み出す為に共に燃え出しました。そんな大きな節目にあたり、以前より代表の大野長一郎さんよりお声をいただきながら、5年もの間、幾度も感覚をすり合わせながら
その時をささやかながら見守るように過ごしてきました。
集落での祭り起こしも見越してのこの神事の開きでは、大野さんの今から見渡せる未来への視力の高さや、俯瞰されている領域など諸々
とても刺激を受け、私自身も芸能に対する立ち位置をあらためて
再確認しながらの今日となりました。
そして、神事がこの「火様」を迎えるタイミングで遂行されることが決まり、遂に動き出したその背景には、とっても大きな「何か」が動いている様に感じざるを得ない不思議な不思議な感覚になりました。
「説明」や「言葉」と言うものを超えていくのが芸能の役割なのだと肌で理解しつつ、今回の大切に温めてこられたこの機会には
以前より大野さんともお話に上がって来ていた、神楽太鼓の石坂亥士さんにぜひとも入っていただきたいと言う事で、前日まで遠い熱海におられたにも関わらず、当日ご一緒くださる事に。
下見も移動直後の当日となり、合わせはなく、場所を決めてそのまま神事へと入って行きました。普段日常的に稼働されている釜の上や周りがすっかり綺麗にお掃除されていて、清浄な場が既に出来上がっていました。
玉串を上げさせていただき、そのまま神楽が始まって行きました。
亥士さんの音が蠢き出したと同時に、合わせ火が入った窯の何かが反応する様にとてつもない響きが会場に膨らみ出してきました。
その後は、ただただあるがままに、、、、。
無事に納められ、直会では火を長年継承されてきた方や、宮司さん、関係者一同が、火について語らう貴重であたたかなひと時となりました。
印象的だったのは、今回感じた大いなるものの計いについて
これまで、そんなはずは、、、と思ってこられた方達も口々に
今回を機に、それらを受け入れる事が(準備が)出来たように思いますと言われていた事。
それらを誰もが違和感を抱かなかった事もとても自然であたたかな
心合わせになっていたように感じました。
直会が終わり、皆が立ち上がった瞬間、舞台で使用した土で出来た焼き物の鈴がパリーんと割れました。
それは、今回の舞のお声かけをいただいた時に、珠洲のお宮で
いただいたものでした。
その地へ確かに根着いたと言うようなサインに思えて、またお役全うしましたとでも言うかのような瞬間でした。
大野さんへ、この土地へ返してくださいとお伝えすると、
クヌギの森へ返しますと言ってくださり、嗚呼、本当に今回のご神事が結びとなり、始まっていくのだなあと思いました。
たくさんの方達に、今回の火熾し神事では意識を合わせ、見守りをいただいていて、それらの全てが一つになって開かれて行くのを終始感じていました。
大野さんのこれまで、そしてこれからの展望を
これからもささやかながら見逃さない様、目を耳を凝らして
精進して行きたいと思います。
大野さん、スタッフさん、御参列いただきました皆様、
関係各者の方々、そしてスケジュールを見出しては、遠くより共に神楽をご一緒していただきました石坂亥士さん、ご家族の皆様、デザイナー西原直紀さん、遠くよりお心合わせくださった皆々様へ、心より感謝いたします。
ノトハハソさん